二つのジャケット…「破壊する」炎の赤と「沈静させる」水の青。これにも独特の美学がある。「壊れた」ので「修復した」。この二つのイメージは後の「the
downward spiral」にも通じる物がある。それからも推測できる通り、トレントは常に「壊すこと」だけを訴えてはいない。むしろその後を大切にしていると思う。その破壊のエネルギーは、その後の「直す」「新しくする」ことを導くための儀式なのだ。つまり、既存のものを打ち壊すことが新しいものを引き出すのである。
『精神的に不満を抱えたトレントが、その感情をぶつけた怒りのアルバム』とよく言われているが、それだけで終わってはいない。その感覚は「wish」の歌詞によく出ていると思う。まさに「望み」なのだ。
確かにこのアルバムからのビデオはああだし、そこには彼のフラストレーションが爆発しているように思うが、否定的なもの、残酷なものを見せることは正反対の感情を生むこともまたある。それを狙いにしていたのかもしれない、と私は考える。
音的には「pretty〜」をもっと昂らせたものだが、独特のポップな感覚が隠されていて興味深い。>>
|
トレントは前作と違い、殆ど怒鳴っているにも関わらず、歌詞とメロディは確実に耳に・頭に残る。特にリズムの使い方が印象的で、ドラム・ループが大好きなトレントの嗜好が感じられる。
「happiness in slavery」の強烈なイメージがよくninのイメージそのものに転嫁されることが多いが、確かにこの時期トレントはこういった世界にハマっていた、と後に言っている。しかし、何に「隷属」するのかを置き換えると興味深い歌詞だと思う。ある種の愛情表現とも取れるからだ。トレントの書く歌詞にはこういった「一見そうではないが実は」と言う形の愛情表現が多い。愛情が多くモチーフになるのは、彼がまた、常に愛情を欲する人間だ…と言うところから来ているのだろうか。
私はいろんな事実や彼の発言から、トレントはとても寂しがりの甘えん坊だと思うので、そう考えることが多い。
<1997年初出>
|